旧師団長官舎(上越市)概要: 旧師団長官舎は明治43年(1910)旧陸軍第十三師団第三代師団長長岡外史中将が、「師団長官舎」として建てたものです。設計は陸軍経理部技手加藤栄太郎、施工は高鳥組。長岡外史は風貌だけでなく(飛行機が好きだった事から口髭をプロペラ風にしていた。)柔軟な思考を持っていた人物として知られオーストリアの軍人レルヒ少佐が持ち込んだスキーを日本の軍隊にも取り入れ、長官舎建設の際も積極的に設計や工事に係わったと伝えられています。大正14年(1945)に第十三師団が廃止になると新たに歩兵第十五旅団司令部が設置され「旅団長官舎」となり、戦後は陸上自衛隊高田駐屯地宿舎として利用されました。
旧師団長官舎の建物は木造2階建、切妻、瓦葺き、外壁は下見板張り、ペンキ仕上げ、開口部は縦長の上げ下げ窓を採用しその小庇はペディメント風の三角屋根に半円形のファンライト風の凹凸の意匠が施され洋風建築の要素が見られます。正面屋根の妻面はハンマービームで外壁より前に張り出し、開口部に曲線を用いたハーフティンバー風の意匠を施すことで建物の正面性を演出し、玄関ポーチを前に張り出し風除室風に前面をガラス張りにすることで冬季の強風が直接玄関から内部に入り込ませないといった雪国ならではの工夫も見られます。
旧師団長官舎(附:門柱1対2基)は玄関屋根の棟飾りや内部の和室など和の要素も所々見られる事から和洋折衷の擬洋風建築で当時の技術が継承している貴重な建物として南城町三丁目から現在地(旧市長公舎跡地)に移築復元され、平成6年(1994)に上越市指定有形文化財に指定されています。
旧師団長官舎:上空画像
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